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安倍総理の辞任と改革の方向性(財務戦略/村藤)

07/09/21

■ 安倍総理の辞任
今、日本は大きな変革の時という状況ですが、
まもなく9月23日には自民党の総裁選が控えています。
そこで、今日は、安倍総理の辞任劇からの経緯を
振り返って行きたいと思います。


安倍総理の突然の辞任によって
改革はいったいどうなってしまうのでしょうか。
その心配がまずあります。
参院選であれだけの大敗をしたのに
辞任しなかった安倍総理でしたが、
内閣改造をして、臨時国会で所信表明演説をして、
これからこういうふうにやりますと言って、
まさに代表質問を受けようというところで、
突然その2日後に辞任をしてしまいました。


テロ特措法に職を賭けるというようなことも
海外で言って来られたりしましたので、
少なくともテロ特措法を新法でも作って
なんとか通すということについて国会で揉めるまでは持つかなと、
みんな思っていたと思うのですが、突然の辞職でした。
憲法では、内閣総理大臣が辞任すると、
内閣は総辞職しないといけない事になっています。
ただ、後継の首相が任命されるまでは、
首相や大臣は引き続き職に留まることになっていますので、
改造内閣は一応まだ現職の大臣という事になっています。
まだ発足して間もないのですが、
総理大臣がいない状況で重要なことを決めるわけにもいきませんので、
とりあえず大臣にはなっているのですが、
たいしたことは出来ないわけです。
これでは仕事がやりにくいことこの上ありません。
とりあえず自民党総裁を決めて、
内閣総理大臣を決めないとしようがないということで、
23日の日曜日に総裁選、
24日に衆参両院で総理指名選挙をして総理大臣を決めて、
組閣するという流れに今なっています。


■ 辞任の理由
どうして突然辞めてしまったのでしょうか。
これにも、いろいろな説があるようで、
よくは分からないのですが、
疲れていたのは間違いありません。
また、機能性胃腸障害とか、腸炎とか病気の話がありますが、
それも間違いないでしょう。
それから、麻生さんや与謝野さんに人事を握られてしまい、
思うような改革が出来なくなってしまった。
これも効いていることは確かなようです。
遠藤農相の辞任の時も、
早くに動いたのはその2人だったという事ですから。
ただ、そもそも何が最大の問題かといえば、
参議院選挙であれだけ負けてしまって、
さらに「小沢さんか私かを選ぶ選挙だ」と言っておきながら、
大敗して国民とマスコミの支持を失ってしまったということが、
やはり民主主義の下での総理大臣としては
最大の問題ということでしょう。


本人の口から辞任の理由の1つに言われた
テロ特措法の延長問題ですが、
これに関しては今後どうなっていくのでしょうか。
これまで、国民はそれについて、
賛成するか反対するか、よく分かっているとはいえないと思います。
もうそろそろ自衛隊は日本に帰ってきてもいいのではないか
というふうにも思うし、
国際的に無責任といわれると、それもどうか、
と思ったりもしているようです。
それについて、日本としてどう対応するのか、
これから総理大臣として
ちゃんと説明しなくてはいけないところでしたので、
そういう意味では、総理大臣に誰がなるにせよ、
これから説明して議論して決める
という事にならざるを得ないでしょう。


■ 次期総裁・総理大臣の見込み
今は、次の自民党総裁・総理大臣として、
麻生さんと福田さんとどっちがいいのか
という議論が色々されている状況です。
安倍総理が辞めた直後は、
麻生さんが最有力だという声が強かったのですが、
ほぼ1日で、麻生さんよりも福田さんの方が最有力
ということに変わってしまいました。
今では、福田さんがほとんどの自民党内派閥の支持を
取りつけてしまいましたので、
福田さんが次期総理になりそうな見込みになっているようです。


福田さんは、しばらく
表に出て色々な事に意見するという事がありませんでしたので、
どんな政策を実行してくれるのか分からないところがあります。
ただ、そうは言っても、彼は、
小泉さんが改革をやっているときに、
官房長官を歴史上、最も長く勤めた人ですから、
ある意味では、小泉さんや安倍さんと
一緒に改革をやっていた人であるといえます。
麻生さんに比べれば、
構造改革を継続してくれるのではないかという気がします。


そして一方の麻生さんは、これまでの流れから行くと、
安倍路線を引き継ぎそうな、そんな印象があるかもしれません。
しかしながら、麻生さんが本当に安倍路線を引き継いでいれば、
安倍さんは辞めなかったかもしれません。
気がついたら安倍さんの内閣なのか、麻生さんの内閣なのか、
分からないようなセットアップになっていて、
麻生さんが安倍内閣改造時に、
好きな人事をしていたらしいということです。


今回、自民党内の派閥がみんな
福田さんの方に流れた1つの理由としては、
総理の辞任の意向を事前に知りながら、幹事長として、
とんでもないタイミングで安倍総理が辞めることを許し
大混乱を招いた、その責任の一端が麻生さんにもあるのではないのか
ということがまず1つです。
内閣を改造した時に、麻生さんが、
古賀さん、山崎さんや谷垣さんたちと仲が悪いもので、
彼らを干してしまったということもあるといわれています。
改造内閣人事で、古賀さん、山崎さんや谷垣さんを
怒らせてしまいましたので、
その人達が福田さんに走ったということです。


麻生さんの地元は福岡だということもあって、
福岡県連は彼を推薦するということを早々に出していました。
やはり地元としては、1度は総理大臣なってほしいと思うのでしょう。
それから、今後、衆議院選挙がいずれやってくるわけですが、
その際の人気としては、
麻生さんの方が強いのではないかというふうに言われています。
しかしながら、これについては、麻生さんでも福田さんでも、
本当に大丈夫なのかというあたりが、今一つよく分からないので、
人気のある小泉さんがもう1度、
総理になってくれないだろうかというようなことを
小泉チルドレンたちがいったわけですが、
小泉さんには100%あり得ないと言って断られてしまいました。
どうも小泉さんが中川さんに、
福田さんで良いのではないかと言ったようで、
それも派閥の支持が福田さんに流れてきた
一つのきっかけになっています。


■ 自民党の総裁選
私たちは直接選ぶことが出来ないのですが、
総裁選はいよいよ明後日ということになります。
自民党の国会議員が387人いて、
それから都道府県連の代表が141人、
これは各都道府県から3人ずつ出すことになっています。
合わせて528人ということは過半数が265票ですが、
議員だけでも過半数を集めそうな勢いに
福田さんがなってきていますので、
福田さんが総裁に選ばれる可能性が、
現状では高いということです。
やはり民主党も意識した布陣にしなくてはいけないでしょうし、
いろいろと考えるべきことはあります。
しかしながら、私としては、
改革を継続しなければいけないという意味では、
小泉さんの下で改革を一緒にやっていた福田さんの方が
改革を継続してくれそうだということは
言えるのではないかと思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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