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鈴木右文准教授一覧

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映画の英語セリフ (異文化コミュニケーション/鈴木)

07/05/08

映画を通して異文化を理解するということで
前回までは、アメリカ、そしてイギリスを中心としたヨーロッパの歴史を
振り返る映画作品をいくつか紹介しました。
このように、英語などの授業で映画を使うことが多いのですが、
今日はそこで使用する教材についてお話しましょう。


■映画のデータベース
授業である特定の作品を取り上げたときに、
学生さん達にはいろいろと調べ物の手ほどきをします。
そういった物の中にデータベースの類もあるのですが、
欧米の映画の場合にはやはり日本のデータベースではなく、
現地のデータベースを見ることが大切なものです。


そこでまず、インターネット・ムービー・データベース(IMDb)という
非常に有名で権威の高い、情報量が豊富なデータベースを
学生さんには紹介しています。


また、日本の『キネマ旬報』という情報誌で、
特に「2月下旬号」といわれている、
前の年の年間のベスト10その他を発表する、
1年間の中で最も分厚い号があるのですが、
これを調べることをお勧めしています。


2月に発売されるというのは、
オスカーが発表される少し前ということになります。
もちろん、映画は自分の好きなように見ればいいのですが、
世の中でどういうふうに評価されているか、
というようなことを意識しながら見ようとしたときに、
情報量が非常に豊富ですし、分析も的確です。
いわゆる映画の雑誌としては少し堅いものに属するのですが、
だからこそ参考にするにはいい物だと思っています。


私自身これ以外に集める映画の情報には、
いわゆるチラシのたぐい、
それから映画館で買うパンフレットがあります。
もっとも、そういうものは一時マニア的に集めていたことがあるのですが、
あまりにもお金がかかりすぎるので、途中で諦めてしまいました。


■最も印象的な作品
これまで劇場で見た中で1番という作品をあげるのは、
非常に難しいのですが、
私の個人的な思いとして、
今まで見た欧米の映画の中で心を動かされたのは、
「シンドラーのリスト」です。
10年に1本の作品だとその時思いました。


また、はじめに見た映画というのは、
それを覚えていればたいした物ですが、
おそらく2歳とか3歳の頃でしょう。
タイトルや中身は勿論覚えていないですが、
多分、日本の映画、侍の映画だったのではないかと思います。
父親が非常に時代劇を好きだったものですから。


また、リアルタイムではなくても、
後になって古い映画を見てみるということもあります。
最近の作品しか見ないという人も多いのですが、
昔の映画もその当時は皆さんにもてはやされた映画な訳で、
それを見て面白くないはずはありません。
古い物を発掘していくのは非常に楽しい作業です。


「雨月物語」などは、
数十年前にしてあのクオリティで、
こんな映画があったのかとびっくりします。
また外国映画でも「第三の男」などは、
同じ音楽をずっと繰り返す効果がありまして、
どんな場面、恐い場面でも明るい場面でも同じ音楽というのは
今じゃちょっと考えられません。
その当時に、今で見ても非常に斬新だと感じるような技術が
使われているケースが沢山ありますね。


■最も印象的な台詞
心に残る映画に加えて、心に残る台詞というのもあります。
例えば、西部劇で有名な「シェーン」(Shane)という作品があります。
シェーンが去っていく後ろ姿を見て、
子供が帰ってきてといって、
「シェーン、シェーン、カムバック」(Shane, Shane, come back!)
という例の場面です。
このように、「この映画にはこういう台詞」ということで
残っている物もあるのです。
そういう台詞が世の中に残っている映画というのは
非常に幸せな映画だと思います。


最も印象的な台詞というものを、
アメリカの映画協会が発表しています。
ベスト100の中で第1位に選ばれたのが、
これは作品としてはメジャーですが、
「風と共に去りぬ」(Gone with the Wind)です。


この中でレッド・バトラーが、
最後に別れのシーンで突き放して言う台詞です。
”Frankly, my dear, I don’t give a damn.” というものですが、
直訳すれば
「君ね、正直に言うけどね。ちっとも僕は構わないんだ」
つまりは、
「もう、お前のことなんか知るか」
「行ってくれていいよ」という台詞です。


これがなぜ最も印象的な台詞なのかを探ると
私にも分からない部分が多いのですが、
こういう物をいい台詞、心に残る台詞として
彼らは受け止めるのだなというところが、
非常に興味深いのです。


■最もくさい台詞
それと同時に、これも米国映画協会が発表しているのですが、
最もくさい台詞というのも選ばれています。
「タイタニック」という映画の中で、
タイタニック号が大海原に出て行くシーンで、
舳先の所に出て行って風を浴びながら、
”I'm King of the world”という台詞です。
直訳すれば「僕はこの世の王様」ということですが、
これが非常にくさいということなのです。


あれを見ていると、
自分でも王様気分を感じるような、
爽快なシーンだと思ったのですが、
彼らはこれをくさいと取るようです。
面白いことにこの台詞は、
先程の、最も印象的である台詞のベスト100にも入っています。


このように、アメリカの映画協会を含めて、
ショーレースの時もそうですが、
日本人の感覚では分からない判断というものがあるようです。
これは感性の問題ですので、どうして違うのかと、
当事者に聞いてもなかなか答えは出てこないと思います。
しかしながら、こうした点が
異文化を比較するという観点からも
非常に面白いのです。

分野: 鈴木右文准教授 |スピーカー:

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