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日本のホテル・チェーンの国際競争力(国際経営/星野)

06/11/06

■海外で苦戦する日本のホテル・チェーン
8月に「外資系ホテルの
市場参入と福岡のホテル事情」というテーマで、
東京には外資系の高級ホテル・チェーンが
続々参入している状況をお話しました。
そのような中で、
先日全日空系のホテル・チェーンである
全日空ホテルが、英国のインターコンチネンタルと
提携することが発表されました。
これによって、
ブランドと予約ネットワークなどの
メリットを得ることになります。


全日空ホテルといえば、
1980年代に本格的なホテル展開をする際に、
当初は米国のシェラトンと提携しながら、
東京や大阪に全日空シェラトンホテルを建設して、
そのブランドで信用力を高めました。
今回再びインターコンチネンタルと
提携するということになったところを見ると、
自社ブランドに必ずしも競争力がなかったことになります。


これは全日空ホテルに
限ったことではなく、残念なことに
日本のホテルで、海外に進出して成功をしている企業は
ほとんどないといっても過言ではありません。
例えば日本航空も全日空も、
かつて自社便の乗り入れ都市を中心に、
日本人顧客の送客を目的に
海外主要都市にホテルを建設し、
また海外の名門ホテルを買収してきましたが、
現在ではほとんど撤退しています。


■ホテルなどのサービス産業の特性
家電品やカメラ、
自動車など、質や価格やデザインによって
顧客によって直接に評価される工業製品では、
競争力のある日本企業は少なくありませんが、
形のないサービスにおいては、
海外において競争力がとても低いといえます。
そのようなサービス産業のひとつが、
日本のホテル・チェーンです。
サービス産業の特性として、
『無形性』、『変動性』、『不可分性』、『消滅性』ということが言われます。


 実際に体験してみないと
 そのサービスの良さを経験できないことが、
 サービスの『無形性』です。


 サービスの品質は、必ずしも常に一定ではありません。
 誰が、どのような場所や環境で利用するのか、
 またその時間によって変動します。『変動性』です。


 また『不可分性』とは、
 常に提供者やその対象である顧客の関係によって、
 満足度も変わってきます。
 誰かにとって良いサービスが、
 自分でも満足できるかどうかはわかりません。


 最後にサービスは蓄えておくことができませんので、
 製品のように在庫ができません。
 顧客がその場で経験をするしかないということが、『消滅性』です。


そのような特性を持つサービスですから、
ブランド力や信用力ということが非常に重視されます。
かつて世界のどこに宿泊しても、
常に変わらない環境と心地よさが提供された
ヒルトンやシェラトンなどのホテル・チェーンもそうですし、
顧客志向のリッツ・カールトンの
ホスピタリティなどは、広く浸透しています。
その点では、日本のホテル・チェーンは、
アピールする特徴が希薄かもしれません。


■日本のホテル・チェーンの「弱点」は何か
実際に海外に進出した
いくつかの大手のホテル・チェーンを見ると、
投資家である現地企業や日系企業の
求めに従って進出したケースや
親会社である航空会社との合弁による
進出などが見られますが、
成功といえる例はわずかです。


その理由としては、
やはり独自の戦略性が乏しいことや
後発の参入企業として特色が出せなかったこと、
サービスの品質という暗黙知の形式知化が
必ずしも進んでいないこと、
対象とする顧客の設定の難しさなどが挙げられます。


日本のサービスはきめ細かく、
レベルは非常に高いと思われますが、
それが社員に十分に共有されて、
提供できていないということもあるのでしょう。


日本のサービス産業が
競争優位性を持つには、まだまだ時間がかかりそうです。
クロネコヤマトの宅急便などの
日本発のサービスのグローバル展開が、
これからは期待されます。

分野: 星野裕志教授 |スピーカー:

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