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商品を誰に売るのか-顧客の特定-(3)(マーケティング/出頭)

06/10/31

今回も、前回までに引き続きまして、
顧客をどのように特定するか
ということに関してのお話をしたいと思います。


前回、セグメンテーションには、
年齢、性別、既婚・未婚、居住地などの
人口統計的な基準と、
ライフスタイル、人生に対する価値観などの
心理的基準があるということ、
そして実際のマーケティングでは、
人口統計的な基準と心理的な基準を
混ぜ合わせてターゲットを特定する
ということについてお話をしました。


今回は、それが実際は
どのように行われるのかについて、
事例を使ってお話していきたいと思います。


■お弁当ビジネスにおける新規顧客の開発
ここに一人のビジネスマンがいると仮定します。
彼は日販2万食の弁当屋に勤務しています。
現在の主な顧客は福岡のビジネス街で働いている
オフィスワーカー達ですが市場としては成熟しています。
そこで彼は商売を伸ばしていくために、
新しい顧客の開発を考えました。
そして、人口の急速な高齢化を好機とみて、
福岡都市部の二世帯同居家族の高齢者達に
昼のお弁当を届けるビジネスに乗り出そう考えました。
そのために、彼は家計を実質的に仕切っている
二世帯同居家族の主婦に狙いを定めることにしました。


まず、彼は人口統計データを頼りに、
福岡都市部には61万の世帯があり、
そのうち、2世帯同居家族数は4万世帯であることを掴みました。
次に、彼は二世帯同居家族の
主婦500人にアンケート調査を実施し、
そのうちの200人から回答を得ることができました。


そして、それら回答の分析から、
以下のようなことが分かってきました。


1. 二世帯同居家族の主婦は大変忙しく、
  同居する両親の昼食の準備にあまり時間をかけられない。


2. とはいえ、市販のお弁当で済ますのは、
  手を抜いているようで後ろめたさを感じている。


3. さらに、親の健康状態は
  自分が誰より知っているという自負があり、
  お仕着せの弁当では栄養の偏りが心配である。


このような回答が200の回答のうちの
約30%を占めていました。

さて、以上をまとめてみると、
人口統計的なセグメンテーションでは、
ターゲットは福岡都市部の
二世帯同居家族の主婦4万人。
さらに理学的なセグメンテーションすると、
4万人の二世帯同居家族の主婦のうち、
30%のおよそ12000人が、日中は忙しくて
昼食にあまり手間をかけることができず、
お仕着せのお弁当では手抜き感や後ろめたさがあり、
親の健康管理者としては栄養の偏りも心配、
という心理的プロフィールを持っていることが推察されます。


そこで、このお弁当屋さんは、
食材にお金をかけた高価格の高級弁当で、
この主婦達の手抜き感をやわらげ、
且つ、高齢者たちの健康状態に合わせた、
ローカロリー、低塩、ハイカロリー、ハイカルシウムという
4種類のお弁当を作り、
それに「医食同源」という商品名をつけることで、
健康管理者である主婦のニーズに応えようとしました。


このように、人口統計的な基準と心理的基準を
組み合わせてセグメンテーション・市場細分化を行い、
ターゲットを絞り込むのが、マーケティングの常道となります。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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