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商品を誰に売るのか―顧客の特定―(2)(マーケティング/出頭)

06/10/24

今回は、前回に引き続きまして、
顧客をどのように特定するかということに関しての
お話をしたいと思います。


■「セグメンテーション」で「ターゲット」を特定する
前回、顧客を分類し、
その区分された対象に
マーケティング活動を集中することで
効率の向上や費用を低く抑えられるといった
メリットが生じるということをお話しました。


このように大きな全体から
ある部分を選び出すことを
マーケティングでは、
「セグメンテーション」と呼んでいます。
教科書ではセグメンテーションとは
市場細分化であると説明されています。
セグメンテーション・市場細分化の結果として
選び出された層のことを
「ターゲット」や「的(まと)」と呼びます。
そしてこのターゲットがマーケティング活動の対象になります。


前回の口紅の場合では、
10代後半から20代前半の女性をターゲットにしましたから、
性別と年齢がセグメンテーション・市場細分化の軸となりました。
このほかにも、既婚・未婚、有職・無職、
子どもの有無、所得なども
セグメンテーション・市場細分化の軸になります。


また、居住地域も重要な軸の一つです。
ターゲットは日本全国なのか、
西日本なのか、九州全域なのか、福岡なのか。
この口紅の場合で言えば、ターゲットを福岡在住、
10代後半~20代前半の有職の女性とすれば、
相当絞り込んだ対象へ効率的で
きめ細かいマーケティング活動が可能となります。


これらのセグメンテーション軸、
即ち、性別、年齢、既婚・未婚、
有職・無職、所得、地域などを
人口統計的な市場細分化軸といいます。
特別に調査を行うこともありますが、
国勢調査の結果や市販のデータブックにあたれば、
これらの市場細分化軸に基づく
ターゲットのサイズ(人口数)が大体はわかります。


■多様化するセグメンテーション軸
私が三十数年前、広告代理店で営業をしていたときは、
この人口統計的な市場細分化軸で事足りていました。
マスプロダクション、マス消費という
基本的に需要過多の高度成長期で、
ターゲットの居住地域、性別、既婚・未婚、
所得のレベル位がわかれば、
マーケティング施策を考え出すことができました。


ところが、時代が移り変わって1990年代、
市場の成熟化、個性化の時代になると、
自分の年収の二倍もするドイツ製の車を
乗り回す若者がでてきます。
また、給料と同じ位の値段のフランス製バッグを買う
20代の女性がでてきます。
これらの現象はどうしても
経済合理性では説明できません。
彼等、彼女等の人生観、価値観、
ライフスタイルと結びつけて考える必要が出てきました。


人生観、価値観、ライフスタイルとなると
人口統計的な切り口では立ち行かなくなります。
国勢調査結果からだけでは読み取ることができません。
そこで心理学的なアプローチが
脚光をあびることになります。
例えば、グループインタビューと言って、
ターゲットと想定される6~8人の方々を集めて、
様々なアングルからの質問に答えて貰ったり、
自由に討議していただいて、ターゲットの価値観、
ライフスタイルを炙り出すといった手法を取ったり、
あるいは、オピニオンリーダーの人たちにインタビューをして
意見を聞いてトレンドを予測したりします。


現在は、人口統計的な基準と
このような心理学的な基準を混ぜ合わせて、
何とかターゲット層を確定していこうとしている時代だといえます。

分野: 出頭則行教授 |スピーカー:

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