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古川久敬教授一覧

最近の企業採用動向 (人的資源/古川)

06/08/15

■氷河期を脱しつつも正規社員雇用に慎重な企業
企業の業績が上向いていることを反映して、
採用動向も確実に良くなり、上向きになっています。
これは新卒の学生の皆さんにとっては、
基本的には嬉しいことだといえますね。
ただ、企業の採用意欲が高まっているとはいっても、
正規社員雇用、いいかえれば正社員の雇用については,
企業はかなり慎重です。それは、しばらく前まで、
人件費総額の膨らみに悩んだ経験がありますから,
そうならないようにと思っています。
だから派遣社員や契約社員,
あるいはパート,アルバイトという形での雇用を考えていると思います。
この傾向は九州,もちろん福岡でも実ははっきりと見られます。


■九州や福岡の企業にみられる正社員比率の動向
福岡市に本社を持つ大手企業の広報誌ですが、
「ともろう」という季刊誌があります。
毎号、九州の経営者の方々に種々のアンケートを実施しています。
昨年末には、人事雇用や制度についてのアンケートを実施しました。
その分析結果を見ても,
回答企業の75%が、現在でも「正社員が多い」としていますが
年々,派遣社員や契約社員の比率が増加している傾向が見て取れました。
特に卸し,小売り,サービス業などでそれは目立っていましたね。
狙いは、即戦力の確保とはされていますが,
それ以上に,総額人件費を可能な限り押さえたいということにあるようです。


■非正規社員の増加に付随する2つの問題
正社員を、派遣社員や契約社員などの非正社員の方々に
置き換えた場合に出くわす悩みが2つあります。
ひとつは,正社員でない方々にも,ビジネスをする上で,
自社の持つ経営課題をよく理解してもらいたい,
会社との一体感を持ってもらいたいと,
企業側は願うのですが、それが願い通りに行くのかという問題。

そしてもう一つは,仕事を進めていく上での
知識やノウハウの蓄積をどうするか,
どう伝承していくかということ。
これは特に最近、大きな問題として気づかれ始めています。


■正社員による仕事と非正社員による仕事との棲み分け
企業は,先に見たように
正規雇用でない方々の雇用を増やしてきました。
正規雇用社員と同じように一緒にやってもらいたいと
一方で願いつつ,もし他方で企業側がどこか冷たく,
よそよそしいところを持っているとすれば,
非正規雇用社員の方々は、
それに敏感に反応する可能性があることは知っておくべきでしょうね。


実際に、今ではそのことを反省して,
数千人単位で、非正社員のほとんどを
正社員にしようという企業も少しずつ見られます。
一時期,経営上非常にきついときがあり,
正社員の数を減らしてきたけれども,
建設的なアイディアや意見が十分に生まれない,
知識やノウハウの蓄積や伝承が望めないなどの
悩みもいろいろな形で出てくるようになりました。
そのため,改めて正社員にという動きを持っている企業も多くみられます。


だからといって,非正社員の雇用が全くなくなるとも思えません。
やはり,それで済む仕事もあるでしょう。
今後は,この仕事は非正社員の方々に,
この仕事は正社員に、それぞれしっかりと担当してもらうというような形で、
仕事の特性による類別が図られると思われます。

分野: 古川久敬教授 |スピーカー:

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