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日本にチームワークはまだあるか? (人的資源/古川)

06/08/08

先週は,欧米企業が今,
チームワークに大きな関心を寄せているということをお話しました。
もともとチームワークは
日本の得意とするところでしたが,果たしてそうなのでしょうか?
今もそうだといえるでしょうか。


■日本人はチームワークが上手いのか、下手なのか
日本人として、
昔ながらのチームワークはできるかもしれません。
しかし、今日、求められる
チームワークの「質」が大きく変わってきていることから、
それについては上手くない、むしろ下手と言えるかもしれません。
このことを理解するには,
チームワークのレベルを3つに分けて考えると分かりやすいと思います。


■基本のチームワークは下手ではない
まず,レベル1のチームワークは,
円滑に連携や協力をする。仲間で仲良くうち解けあって,
気心を知り合ってということです。
これはチームワークの基礎といえます。
ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を十分に行うなどで生まれます。
これもなかなか難しいことですが,
チームワークの基本にしか過ぎません。

次にレベル2のチームワークとは,
誰の担当でもない仕事が発生したとき,
チームのメンバーが即座に瞬時に判断して
自分の役割を超えて柔軟に行動を取れるようなチームワークです。
職場では,突発的なこと,
あるいは自分で決めていなかったことが多く発生します。
チーム内でその隙間を埋める,
抜けや漏れのないようにすることが重要です。
ただ仲が良いだけでなく,
見て見ぬふりや,気づいて気付かぬふりをしないなどが
レベル2のチームワークです。これもまた大変重要です。


■今日問われているチームワーク(レベル3)とは
しかしレベル1,2のチームワークだけでは、
今日では,競争力を持てません。
その理由は,組織や職場の状況がどんどんと変わり,
自分達が取り組む課題そのものを見直す必要があること,
あるいは創造性をどう作り出すのかが問われているからです。

そこでは,先程のレベル1や
レベル2のチームの結束だけでは足りません。
ここで求められるのは,
意見を積極的に出し合って,あるいは
アイディアを出し合ってチームのために発想し,
活動するチームワーク。時には個性や意見をぶつけ合い,
摩擦も起こることもありますが,そこから何かを生み出していくチーム。
これがレベル3のチームワークです。


■中田選手が目指したチームワークとは
サッカーもワールドカップは終わってしまいましたが,
中田選手が目指したチームワークとは,
実はレベル3のものであったかもしれませんね。
彼はチームから少し浮いてしまっている,
いろいろなことで文句を言うなどの話がありますが,
彼は、試合で今まで起きたことのない状況も
自分たちで判断し,チームとして新しいものを瞬時に作り出していく。
彼はそんなチームワークを目指していたに違いありません。
我々は、このようなチームワークは
これまで上手くはなかったと言わざるを得ません。


■私が関心を寄せること
先般、ギリシャのアテネでの国際会議に参加して,
レベル3のチームワークの状態を
図る尺度(スケール,物差し)の発表をしました。
いい意味での「For the Team」,
摩擦も恐れず,新しい何か,チームにとって必要な何かを見出す。
そういったチームワークを目指したいと思います。
日本人はそれが得意かというと,必ずしもそうではない。
従来のレベル1や2のチームワークの
グレードをレベル3もできるように上げていきたい,質を変えていきたい。
そんなことに関心を持って今我々は研究を進めています。

分野: 古川久敬教授 |スピーカー:

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