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骨太の方針と消費税の必要性 (村藤/財務)

06/07/21

今日は、骨太方針と消費税の必要性について
お話ししていきたいと思います。


■ 骨太方針2006

七夕の7月7日、臨時閣議で
骨太方針2006というものが出されました。
その内容は、5年後の2011年までに
プライマリーバランスを黒字化し、
その後に債務のGDP比率を削減していこうというものです。


■ プライマリーバランス

プライマリーバランスというは、
借金をせずにその年の行政経費を
賄えるかどうかを見る指標で、
行政経費には借金の元利金の支払は含まないし、
収入にも借金による収入を含まず、
純粋に行政のための収入と支出が
バランスしているかどうか見るものです。


財政再建にあたり、
プライマリーバランスが赤字ではしょうがないので、
まずはこれをバランスさせようというのが第一目標です。
その為に歳出削減を
11兆円から14兆円にしようだとか、
消費税を2兆円から5兆円に上げよう
というような話が出てきたわけです。


■ 自民党と官僚のサポートを前提にした骨太方針

骨太方針というと、みなさん
小泉・竹中チームのイメージが
強いのではないかと思いますが、
今回の骨太方針は若干違っています。


というのは、経済財政担当相が
竹中さんから与謝野さんに変わって、
与謝野リーダーの元で
役割分担が行われています。
中川自民党政調会長が歳出担当、
柳沢税調会長が歳入担当、
二階堂経済産業相が成長戦略担当、
そして財務省と経産省がこれをサポートする
といった形となりました。
これまでの竹中さんの直轄チームによるものとは異なり、
自民党と官僚のサポートを前提にした
骨太方針となっているのです。


■ 「骨抜き」に対する懸念

小泉政権でご不満だった
自民党や官僚が復権してきたということで、
少し注意が必要かも知れません。
自民党や官僚の支持により、
歳出削減の実現性が高くなる
ということであればよいのですが、
小泉後の政権次第では
骨太方針の骨が抜かれてしまい、
税金を取るところだけ取るのではないか
と懸念されます。


歳出削減予定の内訳は、
公共事業費で4、5兆円、
公務員の人件費で2、3兆円、
社会保障費で2兆円、
その他で3、4兆円といった具合です。
しかしながら、
公共事業費や公務員の人件費の削減可能性は、
正直なところ怪しいものがあります。


まず、小泉後に、公共事業をやめようという
小泉さんのような人物が再び現れるかどうか。
公共事業の確保を訴える勢力が発言力を強めれば、
その削減は怪しくなってしまいます。


また、公務員の人件費についてですが、
実際のところこれはそんなに余裕がありません。
2、3兆円という歳出を削れるかどうかは
怪しいものがあります。


■ 消費税率引き上げの問題点

自民党税調会長の柳沢さんが、
「消費税率の引き上げは絶対に必要です、
これは社会保障目的なのです。」
とおっしゃっています。
年金、医療、介護などの社会保障は
確かに重要なものですから、
国民のみなさんはその為だったら
お金を出してもしょうがないかな
というふうに考えがちです。
こうして国民が騙されつつあるのです。


実際のところは、
政府が社会保障を全て自分で運営するのではなく、
民間と一緒に役割分担して行っていくという形をとれば、
2、3兆とは言わず5兆も10兆もの
歳出削減が可能であろうと思います。


それにも関わらず、
年金や医療などの社会保障制度の、
一番大きいものの抜本的な改革をしようとしないので
お金が足りなくなってしまうのです。
それゆえに国民のみなさん
消費税で不足分を負担して下さい
という話になってしまっているのです。
この辺りの問題を含め、
骨太方針が骨抜きにならないかどうか
これからきちんと進捗をチェックする必要があると思います。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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