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中央青山問題  (村藤/財務)

06/06/02

先日金融庁が中央青山監査法人に対して業務停止命令を出しました。
今回はこのことにまつわる問題について考えたいと思います。


■ 監査の必要性

上場企業や大企業には多くの株主がいますが、
虚偽の財務諸表を出してしまうと
株主に迷惑がかかってしまうことになります。
これは大きな問題となりえますから、
監査の必要性が生じるわけです。


■ 日本のビッグ4(日本四大監査法人)

日本ではトーマツ、新日本、あずさ、中央青山の4社が
日本の大企業のほとんどを監査しています。
これら四大監査法人はビッグ4と呼ばれています。


中央青山監査法人は、
上場企業の5分の1程度に相当する上場企業約800社、
そして2300社もの大企業をかかえています。


■ 中央青山の業務停止に対する各社の対応

5月10日、金融庁が中央青山監査法人に対して業務停止命令を出したことにより、
当該法人は7・8月に監査を行えなくなりました。
しかし、当該監査法人が監査を行えなくなったといっても、
上場企業が監査を行わないというわけにはいかないので、
各社でその対応が問題となっています。


たとえば資生堂や東レなどでは、
中央青山から他の監査法人へ変更しようというという話が出ているようです。
資生堂はあずさへの変更を、
東レは新日本への変更を検討しているようです。


あるいは、これまでの関係というものを重視し、
2ヶ月の業務停止命令解除後、
当該監査法人に再度監査を依頼すると宣言している会社もあります。
NTTや新日鉄などですが、
これらの企業は当該監査法人を保護する立場をとっていると言えます。


トヨタ、ソニー、ソフトバンクなどの大企業は
ひとまず様子を見ようという態度をとっています。
これらの大企業が監査法人変更の可能性を否定していないということで、
大変な事態になっています。


■ 監査業界の世界的構図

かつてはビック8と呼ばれる監査法人が世界中で8つあったのですが、
現在では4つしか残っていません。
DTT(デロイト・トウシュ・トーマツ)、E&Y(アーンスト・アンド・ヤング)、
KPMG、PW(プライスウォーターハウス)がありますが、
それぞれが日本の4つの監査法人と提携しています。


中央青山監査はPWと提携して世界中の企業の監査を行っています。
このため、世界で事業展開するあるグローバル企業が
中央青山監査・PWに監査を依頼している場合、
中央青山のみ監査を中止するというわけにはいかないのです。


■ PWの対応

PWとしては、今回の中央青山の業務停止の上に、
顧客が他の監査法人へと移ってしまうようなことがあると非常に困るので、
新たに監査法人を設立して、
そちらに主としてもと青山の会計士たちを移管することを検討しているようです。
中央青山はもと中央監査法人ともと青山監査法人がくっついてできたものですが、
もと中央の会計士が監査した顧客にトラブルが多いということで
冷遇されてきたもと青山の会計士たちともめているようです。
このことに対しては一抹の不安を覚えます。


■ 制度そのもののもつ諸問題

監査法人が業務停止命令を受けるというのは情けない話ですが、
問題があったのが中央青山だけなのかというと、
必ずしもそうではないと思います。


そもそも、監査上何かしらの問題をかかえる企業は多く存在するはずです。
それを認めてしまい、ゴーサインを出してしまったが
今回カネボウを監査した中央青山だったということでしょう。
しかしながら、実は
他の監査法人も似たような行為を行っているかも知れないという話もあります。


中央青山では約2000人の公認会計士が監査業務に携わっていますが、
一人の粉飾に対し、それに関係していない社員までもが連帯責任を取らされたり、
監査対象企業が影響を受けたりすることには問題があると思われます。


実際、金融庁も出来れば業務停止命令は出したくなかったようです。
新聞によると、このような状況に対するサンクションが業務停止命令のみであったため、
仕方なく業務停止命令に至ったということです。
この反省から、現在、業務改善命令の導入が検討されているようです。

分野: 村藤功教授 |スピーカー:

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