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大学に対する産学連携の企業評価 (産学連携/高田)

06/06/29

先日、新聞に企業による大学評価の記事が掲載されました。
この評価は、経済産業省が昨年から実施しているもので、
「産学連携」に関する各大学のアクティビティに対する
産業界の評価をアンケート調査した結果です。


■ 大学に対する産学連携の企業評価とその結果

アンケート調査により、
産学連携がスムーズに進むか、
あるいはなかなかうまくいかないといった点について、
企業の視点から明らかにし、
ある指標によって点数化します。

その結果、今回は第1位が立命館大学、
2位が東北大学、3位が九州大学でした。
立命館大学は2年連続で首位に輝いています。

この大学は非常に頑張っている大学で、
大学経営の面では「改革のデパート」などと評されています。
世の中のニーズにいかに的確に応えていける大学にするかということで、
例えば大分のAPU(アジア太平洋大学)の設立などが知られていますが、
教育面もさることながら、
産学連携の面でもかなり熱心に取り組んでいることが
社会的にも評価されていると思います。


■ 産学連携の大きな目的の一つは将来のビジネスの種を作ること

産学連携の企業評価には採算性という指標は入っていません。
というのも、産学連携というのは
かなり基礎的な研究開発からスタートする場合が多く、
単純に採算性だけを論じるのがそぐわないからです。
このような基礎的な研究開発では、
企業側の採算が見えてくるのはかなり先の話になります。

企業としても、基礎研究をしっかり行うことで、
将来のビジネスの種を作ることが出来るのかどうか
という点を重視して大学と連携を行っているようです。


■「改善の余地があるかどうか」は減少傾向にある

アンケートの結果を見てみると、
大きな傾向としてまず挙げられるのが
「改善の余地があるかどうか」という点について、
前回は18%だったのが今回は7%と、
全体的に減少傾向にある点です。

前回の評価対象期間であった2004年は、
国立大学が一斉に法人化したことによる混乱がありました。
しかし、今回の評価対象期間である2005年は、
各国立大学はある程度落ち着いてきたということで、
「改善の余地があるかどうか」という点についての
企業側の評価はだいぶ良くなってきたものと考えます。


■ 大学との共同研究契約金額はまだまだ小さい

ただし、これで産学連携がうまくいっているのかというと、
完全にそうは言い切れない部分があります。

たとえば同じアンケートの中に、
共同研究契約金額がどれくらいかを調査したものがありますが、
1件当たりの契約金額を見てみると、
全体の30%は100万円以下であり、
100万円から500万円の範囲に入っているものが
全体の50%となっています。
つまり、全体の80%は
500万円以下の契約金額だということになるのです。
これでは、人件費も含めると大学は実質赤字の状態です。

企業で1人技術者を雇用して研究開発を行うことを考えましょう。
人件費や間接経費、研究開発経費などの色々なコストを足すと、
単純計算で最低でも1500万や2000万はかかるでしょう。
つまり企業側は、大学にはその十分の一くらいしか
お金を払う覚悟が出来ていないのだと見ることもできます。


■ 日本企業が海外の大学に出している共同研究費は日本の2倍以上

ちなみに、日本企業が
国内の大学に対して出している共同研究費の総額が
800億円と言われています。
一方、海外の大学に対しては
2000億円出していると言われています。
なんと2倍以上の研究費を
海外の大学に出しているということなのです。

経団連などは、
海外大学が国内大学より優れている点として
以下の三点を挙げています。
海外の大学の研究者は、
企業のニーズをよく把握しているというのがまず第一点。
契約内容がしっかりしていて
それをきちんと履行するというのが第二点。
第三に、学内で横の連携を取っていて、
色々な細かい対応をしてくれること。
これらのことが評価されて
海外の大学にかなりのお金が流れています。


■ 日本における産学連携は始まったばかり

このようなことからも窺い知れるように、
必ずしも我国における産学連携がうまくいっているとは言えず、
まだまだ改善の余地が大きいのが実情でしょう。
しかしながら、日本において
大学が組織的に産学連携に取り組むという動きは
まだ始まったばかりですから、
今後の進展が期待されるところです。

分野: 高田仁准教授 |スピーカー:

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